かがやき+1 平成19年5月
2007年5月28日

この「かがやき+1」では、子どもたちの姿を通して、保育者が、保育の中で感じたこと、考えていること、大切にしていることをお伝えしていきます。 今回は   

ぬりたいな

です。

あたたかい日差しの中、外で遊ぶのがとても気持ちが良い毎日。砂山に水を流したり、おままごとしたり、レストランしたり、様々なところで遊びが拡がっています。また、新しい生活にドキドキしていた子たちも少しずつ幼稚園の中で、楽しいなと思うことが出てきました。  長谷幼稚園では、そんなこの時期に、様々な素材(えのぐ、砂・水、ドロ、べとべとのり)で遊ぶ機会をつくっていきたいと考えています。※べとべとのりとは、小麦粉と水を加熱してつくったのり状のものです。これらの素材は、どれも違う感触で、違う楽しさがあり、どれも子どもたちの思いや気持ちによって、自由に様々な色や形に変えられるものです。それらを全身で夢中になって遊ぶことで、気持ちがほぐれ、幼稚園が安心して過ごせる場になるといいなと願っています。また、新たな楽しさを感じるきっかけの一つになるといいなと思っています。  5月10日〜16日の5日間。保育者が事前に園庭につくっておいた空間、そこで、子どもたちは、おもいきりぬることを楽しみました。その空間は、普段は園庭に存在しないトンネルやドア、囲われた場所など立体的な場所を木箱やダンボールを使ってつくったり、園庭の周りにある木の幹や大きな石、太鼓橋、ジャングルジム、門などにダンボールや紙を貼って、えのぐでぬれるようにしたものです。  太い木の幹の周りを何人もの子が囲み、「スイカの皮〜!」「ほうれん草!」と言いながら、嬉しそうに、えのぐをぬっている子もいたり、ジャングルジムに登って、上から下に向かってぬれることが嬉しく誇らしげにしている子がいたり、友だちと一緒にぬるだけで楽しい!という子がいたり、えのぐでぬる楽しさも一人ひとり違います。  また、そこにある空間に一歩足を踏み入れると、いろんなことを想像し、ぐっとイメージを膨らませる子どもたち。いつも通って遊んでいる木に囲まれた細い道でも、歩いているうちに、「森の中に恐竜がいるよ!」という子がいて、それを聞いて、「あっ、鳴き声聞こえた!」「え、どこ?」「足跡あった!」と次々といろんなことを話し出しました。少し歩くとその先に私たちがつくった空間があり、それを見つけると、「恐竜のおうちだ〜!」「いま出掛けてるんじゃない?」「恐竜来るか、あっちでみてるね!」「あっ、恐竜きた〜!」「きゃ〜!!」と一斉に木の陰に隠れる子どもたち。見えない恐竜が近づいてきて、また出掛けると、「あ、いっちゃったよ」とホッとして木の陰から出てきました。そのあとも「恐竜くるかもよ!」などドキドキ・ワクワクしながら、その恐竜のおうちをいろんな色にぬって楽しみました。別の日には、その同じ場所にある空間を『はっぱけんきゅうじょ』とよんで、遊ぶ子どもたちがいました。園庭中に広がる空間での楽しさもその日その日で違います。  そして、4日目、数人のきいろの子(年長児)と相談をして、自分たちで空間をつくることにしました。自分たちでつくることで、よりそこへ気持ちを向け楽しさを味わえるのではと考えました。子どもたちが考えるものは、おもしろく、イスとテーブル、そこに座らせるテレビ人形(テレビのような顔なので、テレビ人形です。)や花の道をつくりました。翌日、つくったものを園庭に置きました。たくさんの子がぬって楽しみ、つくった子たちもとても嬉しい気持ちになっていました。  この5日間で、子どもたちは、たくさん、えのぐに触れ、ぬる楽しさだけでなく、いろいろな楽しさを味わい、子どもたちにとって、えのぐがより身近なものになっていったのではないかなと思います。そして、えのぐで絵を描く楽しさ、表現する楽しさにつながっていくといいなと思います。  えのぐ以外の素材もこれから楽しんでいきたいと思っています。 H19.5PLUS1.jpg