はせだより+1 2004年度
2005年3月27日

このコーナーは、長谷幼稚園の先生達が綴り描いてくれるコーナーです ここでは、幼稚園で過ごしている子どもたちの姿や、そこにいる私たち保育者がその姿を見て感じたことなどをお伝えしていきたいと思います。

いつものはせだよりとはちょっと違う「はせだより+1」、時々CHECKしてみて下さいね。

  TITLE05211.JPG - 23,107BYTES *「仲間とつくってきた1年」 (3月23日)  3学期になって、お弁当の後、園庭に「クマウサやろう〜!」「クマこっち!」「ウサギこっち!」という子どもたちの声をよく耳にします。 このクマウサというのは、"くまうさげーむ"のことです。 どういうゲームかというと、まず、"くまチーム"と"うさぎチーム"に分かれます。 くまチームが追いかける側、うさぎチームは逃げる側です。 くまが10まで数える間に、うさぎは園庭中に散らばって逃げます。 くまが、「じゅう!」と数え終わると、うさぎを追いかけます。 うさぎは、くまにタッチをされると、"うさぎ小屋"(砂場の部分)に連れて行かれてしまいます。 けれども、うさぎ小屋に入ってしまっても、まだつかまっていない仲間のうさぎにタッチをもらえれば、うさぎ小屋から逃げることができます。 これを繰りかえして遊ぶ、鬼ごっこなのです。 もともと、このゲームは"ドロケイ"という、泥棒と警察に分かれてするゲームで、ドロケイはご存知の方も多いかもしれません。 けれども、私たちは、子どもたちが考えて作っていく毎日を送ってほしいという思いから、このゲームにも、長谷幼稚園ならではの何かが加わって、一味違ったものになるといいなと思っていました。 そこで、子どもたちに尋ねてみると、「どろぼうとけいさつじゃなくて、うさぎとくまにしたらいいんじゃない?」というアイデアが出てきました。 そのアイデアに大賛成の子どもたち。 男の子、女の子、赤の子(年少児)、青の子(年中児)、黄色の子(年長児)、保育者、同じクラスの子、そうでない子、長谷幼稚園の仲間が集まっての"クマウサ"が始まりました。  ゲームが始まってしばらくすると、どこからともなく、「さくせんタイム〜!」の声。 くまチームとうさぎチームに分かれ、作戦会議です。 円陣になって肩を組み、ヒソヒソ声で話します。 「うさぎを見つけて、はしっておいかけると、くまってことがわかっちゃうから、うさぎのふりしてあるいていって、ちかくまでいったらつかまえちゃうのは?」「うんうん、オッケー!」「うさぎチームにきこえてないかな?」と真剣な表情の子どもたち。 このように、ルールがよくわかっていて、仲間と協力してうさぎを捕まえることや、捕まってしまった仲間のうさぎを助けることに夢中になっている子もいれば、ルールはよくわからないけれど、みんなで走って楽しい、という子もいたりと、その楽しみ方は様々です。 ドロケイとして遊んでいたときには、ただ勢いよく走っていた子どもたちですが、クマウサとして遊び始めると、子どもたちの姿が少しずつ変わってきました。 うさぎチームになった子たちの中に、両手を頭の上にやり、うさぎのようにピョンピョン跳ねながら逃げる子が出てきたり、「うさぎ」と「くま」というかわいい響きに、それまでは外で走って遊ぶことの少なかった子も興味をもち、「なかまにいれてー!」と加わってくるようになったのです。 そして、赤の子(年少児)の人数が増えてくると、「あかのこは、つかまってうさぎごやに入っても、じぶんでじぶんのことをタッチすれば、にげられるってことにしてあげようよ!」と、新しいルールもできていきました。 自分たちが作ったゲーム、という気持ちがあるからこそ、ルールだって自分たちで決めていいんだ、という気持ちにつながり、それがさらに、このゲームを膨らませることにつながったのだと思います。 少しでも時間があると「クマウサやろうよ!」と仲間を誘って、楽しんでいる子どもたちです。 SASHIE0323.JPG - 14,306BYTES

 今回のこの"くまうさげーむ"に限らず、長谷幼稚園の子どもたちは、今年度も、様々なアイデアがつまった遊びを考え、作り、過ごしてきました。 3月17日には、黄色の子(年長児)が卒園し、その卒園式も、"きいろのこのさよならぱーてぃー"という、子どもたちのオリジナルがたくさんつまったものになりました。 来年度も、どんな子どもたちのアイデア、かがやく瞳と出会えるのか、楽しみにしています。


*「同年齢の仲間との生活」 (12月20日)

 長谷幼稚園では、子どもたちが、異年齢、同年齢、そしていろいろなつながりの中で育っていってほしいと願っています。 4月から異年齢の仲間と生活してきた子どもたち。 この時期(今年度は、11月8日(月)〜12月20日(月)の間)に、同年齢の仲間との生活を送りました。 桃・赤の子(年少児)、青の子(年中児)、黄色の子(年長児)が、それぞれの同年齢の仲間との生活の中で、何かになりきったり、お話を作り表現したり...と、子どもたちが考え作った世界が拡がりました。 その様子を年齢ごとに紹介したいと思います。 (また、子どもたちが考え作った世界を、保護者の方が楽しむ日、<子どもが考える行事の日>が12月11日(土)に行われました。)                                                                                                                                1.桃・赤の子(年少児)〜いちご・りんごぐみ〜 「でんしゃでおでかけ」 

 ガオー、ワンワン...と鳴いたり、ピョンピョン飛びはねたり、年少児だからこそ何も身につけなくてもなりきれてしまうのだと思います。 そんな何かになりきる楽しさをこの同年齢の生活の中でたっぷり味わってほしいと私たちは願っています。  イスで囲んだお風呂にみんなで入ったり、「夜だよ」と電気を消して、薄暗い部屋で寝たり...と動物になって遊んでいました。 部屋をぐるっと一周するとそこは山で、どんぐりを拾ったり、もう一度ぐるっと一周するとそこは、海で、貝殻を拾ったり...とその時その時にイメージが膨らみ、その世界にすっと入っていきました。 遊ぶ時だけでなく、片づけをする時や帰りの時間も動物になりきって過ごしていたり、「さよならの時まで、ピョンピョンでいよ〜っと」となりきっていました。

 ある日、何人かの子からダンボールを電車にして、「次は江ノ島水族館〜」「次はレストラン〜」と電車に乗って出掛ける遊びが拡がりました。 みんなで楽しめるといいなと思い、みんなが乗れる電車を作ることにしました。 はじめは、動かすことの出来ない電車でしたが、乗っているうちに、「電車で2階に行きたい」「外に行きたい」などの声が出てきたので、乗って動かしても壊れないような丈夫な電車を作っていきました。 作る中では、丈夫にするためにテープではなく、布をひもにして結んでつなげたり、窓を作ったり、持つところが滑るからと取っ手をつけたり、様々に工夫しました。 電車のまわりは、絵を描いたり、色を塗ったりそれぞれ飾りをつけました。 何枚も何枚もテープを貼り付けるのが楽しかったり、のりを手いっぱいにつけて貼り付けるのが楽しいのです。

 そんな電車に乗る動物たち、どんなところに住んでいるのか聞いてみると、「さむいところ」「もり」「うみ」などのイメージが膨らんでいきました。 10月の行事でトンカチが楽しくなってきていた桃・赤の子。 それらを木箱と板を使って外に作りました。 自分たちの作ったおうちに入ると気分はさらにその動物! 海をイメージして作ったイルカの子。 そのスペースで(決して広くはないのですが)そこで腹ばいになって両手足を動かし泳いでいます。 高い山をイメージして作ったライオンの子。 木箱の上を歩けるようにして、その上でガォ〜とほえる姿はライオンそのものです。

 遊んでいる中で「私、白色のネコ!」「ツメが長〜いんだよ!」等々、それぞれの動物のイメージが膨らんでいき、布や箱、袋、ひも、テープ、のりなど、自分で選んで、身につけるものを作りました。 できたものを身につけると気分はまさにその動物!また、友だちが作ったものを見ていいなと思い、自分も作ってみたくなったり、さらにアイディアが出てきて、作っていく姿がありました。 遊んだり、作ったりしていく中で、「これ○○ちゃんの耳だ」「ライオンは寒いところに住んでるんだよね」など周りの友だちのことを知っていく姿がありました。 そして、仲間と一緒に一つの世界で遊ぶ楽しさを味わっているのを感じました。 SASHIE12201.JPG  2.青の子(年中児)〜そらぐみ〜 「どうぶつテントのおはなし」

 同年齢の仲間との生活が始まり、この仲間でお弁当を食べたり、遊んだり...一緒に生活する中でお互いのことを知ってきた青の子たち。 11月のお誕生日会では、お祝いに動物かみしばいを考え、それぞれに、何かになりきる楽しさを感じました。 (*長谷幼稚園では毎月、その月のお誕生日の子をお祝いするお誕生日会があり、お祝いのおたのしみを子どもたちが考えます。 11月青の子たちは、好きな動物になって、自分たちが木の枠の中に登場する、という「動物かみしばい」のお祝いを考えました。)

 そして、また、そこから新たに、動物たちが住めるテント--どうぶつテント--をつくろう!という気持ちへとつながっていったのでした。 木箱や板で作った動物テントには、外がよく見える窓や、入り口のトンネル等、子どもたちのアイディアがいっぱい。 そして、子どもたちの「どうぶつテントのおはなし」が膨らんでいきました。 「テントの中には動物たちが住んでいて、テントの周りは森。森にはおかしのたまごがあって、へびがそのたまごを守っているのです。 動物たちは地図を見つけて、おかしのたまごを探しに行きます。 へびを見つけると「やさしくしてくれたらたまごをあげるよ」と言われ、動物たちはへびをなでなで。 へびのショーやそのお礼の動物ショーを見せ合って、めでたくおかしのたまごをもらえるのです。 みんなで作った"たまごのうた"を歌うと、たまごがぱかっと割れて、中のおかしやアイスをみんなで「いただきま〜す」。 子どもたちのアイディアがつながって、このようなお話になりました。 それぞれに「○○になりたい」という気持ちも膨らみ、身に着けるもの(耳やしっぽ等)もじっくり作っていきました。 また、友だちの作った物を見て、「かっこいい!」「○○ちゃんのいいな、わたしもつくりたい!」と友だちから刺激を受ける姿もありました。

 それぞれが自分の思っていることや考えていることを出し、また、周りの友だちの思っていることや考えていることも知りながら、青の子みんなで作っていった「どうぶつテントのおはなし」。 "たまごのうた"やギザギザに割れるように考えて、ダンボールで作ったたまごetc...子どもたちの考えることっておもしろい! 青の子たちそれぞれが、友だちと一緒に一つの世界を作っていく楽しさを感じました。 SASHIE12202.JPG   3.黄色の子(年長児)〜みかんぐみ〜 「はせもりのおはなし」 

 黄色の子は、同年齢の生活が始まるとき、お弁当のデザートにみかんを持ってくる子がたくさんいるから、と、クラスの名前を"みかんぐみ"と名付けました。 みかんぐみでは、みんなで集まって、「自分たちでお話を作って、園庭でお客さんに見てもらっちゃおう!」とこちらから投げかけ、お話を作るところから相談がはじまりました。 子どもたちが考えたお話は、次のようなものです。 "はせもり"というところに、三つの村があって、そこには一つずつ、大きなみかんがありました。 そのみかんを食べにイモムシが、イモムシを食べにミーミーという動物がやって来て・・・と、少しずつ大きな動物が現れて、食べては食べられ、を、繰り返し、とうとう、"はせもり"で一番大きなグーグーという動物が、きょうりゅうをひとのみにしてしまいました。 その後、おなかがいっぱいになったグーグーが卵をうむと、中から生まれたのはなんときょうりゅう、きょうりゅうも卵を産むと、その卵からはカンという動物が・・・と、食べられたはずの森の仲間がみんな卵から生まれ、自分のすみかに戻ることができました。 森の仲間は、みんなで「よかったね」とパーティーをしました。 この"はせもり"を舞台としたお話を膨らませていく中で、一人が「お話の続きはこうしよう!」とアイデアを出すと、「それいいね! じゃあ、その先はこうしよう。」と、友だちのアイデアが刺激となって他の子が新たにひらめき、そのアイデアを伝えて認め合いながら世界を広げていく子どもの姿とたくさん出会うことができました。 また、お話の中には、子どもたちが作り出した動物も登場します。 こんな風に、登場人物まで考えて作り出す、子どもの力って素敵ですね。

 お話ができてきて、次はそれをどんな風に表現しようか、というところです。 子どもたちの手にかかれば、みかんでさえも、まるで生き物のように転がり、イモムシに食べられてしまいます。    ♪みかんがコロコロ ころがって みんながたべて なくなって ララララ ララララ ラララララン  ヘイ♪とオリジナルの歌を歌いながら、輪になってまわり、みかんが転がる様子を表現しました。 SASHIE12203.JPG

 「イモムシはみかんを食べると大きくなるんだよ。」というアイデアから、イモムシの子に食べられたみかんの子は、イモムシの子の背中にくっつくことで、イモムシが大きくなることを表現することになりました。 ここまでは全員でみかんやイモムシを表現します。 SASHIE12204.JPG - 9,909BYTES

 その後に登場するミーミー以降の森の仲間は、子どもたちがそれぞれに演じる森の仲間を決め、イメージを膨らませて、「グーグーはおなかがすいても、寝ても『グーグー』って鳴くよ」「虫は木に住んでるから、長い板で木のすみかを作る!」「カンはカンガルーに似ててね、ポケットがついてるんだよ」と、体、しぐさ、声、言葉、すみか(木材で、とんかちやのこぎりを使って園庭に舞台のように作りました)、身につけるもの(お菓子の空き箱や布などの廃材で作りました)、など、たくさんの方法で、自分のイメージの中にある動物を表現していきました。 (アルバムのページで画像が見られますので是非ご覧ください) SASHIE12205.JPG

 みかんぐみの子どもたちは、こうして、おうちの方がお客さんとして見に来てくださる、"子どもが考える行事の日"を楽しみに待ち、考え、作っていきました。 当日、お話が終わると大きな拍手と、お客さんからの「アンコール!アンコール!」の声があがり、とても嬉しく、自信に思う気持ちを味わいました。 そして、お客さんに握手のサービスもして、まるで本物のスターのような子どもたちでした。 子どもたちの中から出てくる表現の面白さをたくさん感じられた行事だったと思います。


*「長谷幼稚園の絵本」 (11月26日)

 長谷幼稚園には、「絵本の部屋」と呼ばれる絵本がたくさんある部屋があります。 そこにある絵本は、子どもたちが、自由に手にして見ることができたり、お弁当のある日(月・火・木・金曜日)は、ひとりひとり好きな一冊を選び借りて帰り、親子で楽しめたりできるようになっています。 好きだから「この絵本にしよう。」と決める子(家に同じ絵本があったとしても、借りていく子もいます。)や、友だちから、「この絵本、おもしろいよ。」と聞いて借りる子や、友だちと「一緒の絵本にしよう。」とおそろいの絵本を借りる子・・・など借りる絵本を選ぶ時もいろいろな子どもの姿があります。

  

 また、毎日クラスごとに集まる「帰りの時間」の中で、私たち保育者が、子どもたちに絵本を読みます。 読む絵本は、季節にあったものや、日々の子どもの様子から考えてみたりして「子どもたちに読みたいもの」を選びます。 絵本を読み始めると、子どもたちは、絵をじっと見つめ、保育者(読み手)の声に耳を傾け・・・と絵と文の両方をとらえ、絵本の世界を楽しんでいる姿があります。

  

 以前、「おおきな木」(シェル・シルヴァスタイン 作絵 本田錦一郎 訳 篠崎書林発行)を子どもたちと読んだ時のことでした。 子どもたちが、りんごの木のちびっこに対する無償の愛をストーリーから感じるかなと思っていたのですが、実際読んでみると子どもたちは、おじいさんになっても、彼のことをりんごの木が、「ぼうや」と呼びかけるのが、面白くて大笑いということがありました。 大人と子どもでは同じものをみても感じ方が違うのだなと思いましたし、また、それでいいのだと思います。 子ども自身が感じたことを大切にしたいと思いました。

  

 絵本は、子どもにとって自分で読むものではなく、読んでもらうことで、その世界を十分に楽しめるものだと思います。 そして、絵本は、子どもに文字や生活習慣などを教えたり、理解させたりするものとして使いたくないと私たち保育者は考えます。 絵本を読むことを通して、絵本の世界の楽しさ、おもしろさ、その魅力を子どもたちに伝えていけたらと思っています。

  

 また、月に一度、「ちゅうちゅう会」と呼ばれる有志のお母さん方が絵本を読む時間があります。 子どもたちは、その時間をとても楽しみにしています。 いろいろな読み手(保育者、お母さん方・・・)を通して、絵本の世界を感じられる機会が、長谷幼稚園の生活には、たくさんあり、これからも大切にしていきたいと思います。

 

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*「『ようちえんひろば』つくったよ!」 (10月29日)

〜 子どもが考える行事(10月) 〜

  

長谷幼稚園では、子どもたちが考え、つくる生活を大切にしたいと考え過ごしています。 行事についても、子どもたちが考え、つくり出すものであって欲しいと願っています。 また、私たちは行事の日、当日だけでなく、つくっていく中での子どもの思いやじっくりつくる姿など、その過程を大切にしたいと考えています。

「子どもが考える行事」は、長谷幼稚園には、大きく二つあります。 そのうちの一つ、外で体を動かすのが気持ちの良い秋に、子どもたちがつくったもので遊ぶというものが先日、(1016)行われました。 (もう一つの行事は、表現的なものを考えていきますが、今年度は12月に予定しています。)

アルバムのページでご覧いただけるかと思いますが、今、園庭には子どもたちが木箱や板でつくった「ようちえんひろば」が拡がっています。 つくっていく時に使うのは、大人が使う物と同じ、本物のとんかちやのこぎり、釘です。 これらの道具や木材は、一見子どもが扱うには危険とも思われがちですが、長谷幼稚園では、次のような理由から子どもたちに出していきたいと考えています。 まず、子どもたちは釘を打ったり、木を切ったりすることがとても好きです。 はじめは何をつくる、というわけではなく「ただ釘を何本も何本も打つこと」「ただ木を切るだけ」これがとても楽しいのです。 そして次第に「この板とこの板をとめるには、ここを打てばいい。」「この厚さの板には、この長さの釘がいい」etc・・・。 自分たちで考え、工夫していけるようになっていきます。 また、大人が使う本物の道具を子どもが使うということで、大人から任され信頼されているんだという気持ちにつながります。 紙や砂と違い、少々扱いにくい木材に取り組むことは全身を使っての活動となり、それだけに目的への達成感・満足感も大きく、次への意欲や自信にもつながっていくのです。 (たとえば、板が一枚切れた、釘が一本打てた、ということも子どもにとっては大きな喜びなのです。) そして、木でつくったものは、ダンボールや箱とは違い、簡単に壊れることなく丈夫です。 つくったもので遊び、またつくり・・・と平面だけでない自分たちでつくった空間は、いろんな工夫をしようという発想を生んだり、自分たちの世界をつくり、その世界を楽しんで、というように与えられた空間とは違った思いを持つことが出来ると考えています。

一学期から少しずつ使ってきたとんかち・のこぎり。 この行事で私たち保育者はとんかち・のこぎりを使って、子どもたちが一つの世界をつくり、さらに、その世界で遊べることも子どもたちにつくり出して欲しいと願ってきました。 今回、子どもたちに聞いたところ「階段つくりたい」「ボールを転がせるところつくろうよ」という声があり、そこからさらに、「すべり台」「トンネル」「ドア」「ジャンプジャンプ」「道」「ボール投げ」「カーテンドア」etc・・・様々なアイディアが拡がって いきました。 膨らんだイメージを形にしていく中で、何本も釘を打つのが楽しかったり、「ドアが倒れないように、こうしよう」と工夫したり、厚い板を時間かけて切り上げたり・・・様々な姿があり、満足した気持ちや自身につながっていくのを感じました。

つくったところを通ったり、登ったり、降りたり・・・その空間で遊ぶうちに、子どもの中から色々な遊びが出てきました。 (長谷の子の考えるオリジナルの遊び。 『こおりじゃんけん』や『まほうつかいゲーム』etc・・・おもしろい!) 行事の日に、おうちの人が「ようちえんひろば」に遊びに来ることを楽しみに思う気持ちも日に日に膨らんでいった子どもたち。 そして、16日(土)、おうちの方も子どもたちのつくったようちえんひろば」で一緒に遊ぶ一日を過ごしたのでした。

※長谷幼稚園では、とんかち・のこぎりを使う際に、子どもたちと安全面での約束をしています。

 

     まほうつかいゲーム

    まほうつかいと逃げる人に分かれます。

     まほうつかいが追いかけてタッチして「○○になれ、ほにゃららら〜」とまほうをかけると、タッチされた人は○○に変身してしまいます。  (動物や乗り物、自然のもの等何にでも返信させられてしまいます)

     変身させられた人は「ようちえんひろば」のつくったものに乗ったり、触ったりして「自分にもどれ、ほにゃららら〜」と言うと元に戻れます。

     「ようちえんひろば」のつくったものに乗ったり、触ったりしている時は、魔法はかかりません。

※行事の日は、子どもが逃げ、大人がまほうつかいになって遊びました。 子どもたちは追いかけられるのもだ〜い好き!!  SASHIE1031.JPG - 23,179BYTES


*「幼稚園でお泊り!」 (7月22日)  長谷幼稚園では、毎年夏休み前に黄色の子(年長児)が幼稚園に一泊する、「お泊まりの日」があります。 今年も、黄色の子みんなでどんな風に2日間を過ごすかを考え、必要なものを作り、用意して、7月16日、17日の2日間、幼稚園で過ごしました。 今回の「はせだより+1」では、そのお泊まりの日に向けての準備の様子や、当日の子どもたちの様子をお伝えしたいと思います。 6月の下旬、黄色の子みんなで集まり、7月に黄色の子のお泊まりの日があることを伝えると、「しってるー!ようちえんでとまるんだよね。」「まえの黄色の子もやってたよ!」「カレーたべたい!」と、すでにワクワクしている子もいるようです。 そこで、「お泊まりの時、どんなものがあるといいかなぁ? 黄色の子はとんかちパワーモリモリだから、外に木箱で丈夫なものも作れそうだよね。」と話すと、「黄色の子でうちゅうせんにのりたい!」「うちゅうせんにのってほしをみにいこうよ!」と、子どもたちからアイデアが出てきました。 お泊まりの日の夜、自分たちで作った宇宙船に乗って宇宙に行く、なんとも素敵な旅になりそうです。 どんな宇宙船にしようか話し合っていくと、「おだいどころがあるの」「プロペラとはねでとぶ!」などなど、それぞれの子どもたちが、「こんな宇宙船にしたい」という思いを膨らませています。そこで、木の箱と板、そしてとんかち、のこぎり、釘を使って、園庭に宇宙船を作り始めました。 作っていく中で、「プロペラはどうやったらまわるかな」「ドアはどうやってあくのにしようかな」と考え、工夫していく姿や、一人では難しいことも、「のこぎりこうたいでやろう」「ここのくぎうってあげるよ」と、子ども同士協力し合う姿、「おとまりのひは、うちゅうでごはんをたべたい」「こっぷとおさらをみんなのぶんつくって(お菓子の空き箱などで作るイメージでした)、ごはんのあとに、おちゃのじかんもある」「みんなで、'なつのながれぼし'にいきたい!」と、お泊まりの日に宇宙船でどう過ごすかを考える姿がありました。 また、宇宙船以外にも、どこで寝るかを決め、その場所に「こんなのがあるといいな」という物(夜おうちの人と話せる携帯電話や、テレビ、枕、人形など)をそれぞれが作ったり、お泊まりの日にみんなで着るTシャツを作ったり(染料で描きました)、夕食、朝食のメニューを決めたり、ドラム缶のお風呂を運んできたり、と、たくさんの準備をしてきました。 そして迎えた当日。 自分たちでお風呂の水を汲んでドラム缶をいっぱいにして、夕食で使うお肉を近所のお肉屋さんに買いに行き、包丁で野菜を切って夕食の準備をして、'なつのながれぼし'で夕食を食べ、宇宙に探検に行き(保育者からのお楽しみの探検です)、お風呂に入って、卒園生が読んでくれる絵本を見て、お気に入りのものがある自分の場所で寝ました。 SASHIE0716.JPG - 80,535BYTES

 おうちの人と離れて、幼稚園で1泊するということは、子どもにとってはとても大きな出来事です。 仲間と過ごせることが楽しみでもあり、また、不安なことでもありますが、宇宙船を作ることを始め、様々な準備を通して少しずつ楽しみな気持ちを膨らませていきました。 当日、子どもたちが「みんなでつくったごはん、すっごくおいしい!」「おとまりってたのしいね!」と何度も何度も口にしている姿を見て、「ようちえんでとまれた!」「みんなですごしてたのしかった!」という満足した気持ちを味わっているのを感じました。 この気持ちが、2学期からの新たな自信につながっていってほしいな、と願っています。  ** 準備の様子や、当日の様子は、アルバムのページにも写真がありますので、是非ご覧下さい **


*「いろいろな素材であそぼう」 (6月11日)

 緑がいっそう濃くなり、外で過ごすことが気持ち良い季節となりました。 子どもたちは幼稚園の中で、楽しいことや好きなことを見つけて遊んでいます。 そんな中、長谷幼稚園では、子どもたちにたくさんの素材に触れ、その素材を体中で楽しんでほしいと願っています。 その素材は、えのぐ・べとべとのり・ドロ・砂です。 これらの素材に触れ、親しんでいく中で子どもたちの新たな姿に出会えたら、と願っています。 そして、「ドロ畑っておもしろい!気持ちいい!」「えのぐ好き!」「べとべとのり気持ちいい!」...と幼稚園がより楽しい場となるといいなと思っています。

えのぐ

 園庭中に広がったトンネルや壁。 屋根や天井。 ジャングルジムや鉄棒に取り付けた大きな板。 子どもたちは思い思いに好きな場所を見つけ、大きなハケで色を塗ったり、描いたり...。 全身を使って、えのぐを楽しみました。 ジャングルジムの上から「みて〜!」と下を向いて、腕を上下左右に大きく動かして塗ったり、「チョコレート屋さんでーす」と壁や屋根を一面、茶色に塗ったり、薄暗いトンネルの中で壁や天井をじっくり塗る姿が見られました。 (トンネルや壁で楽しんだこの3日間以外は、園庭に大きな白い板でえのぐを楽しめるようにしています。)

 

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べとべとのり

 スモックを着て準備万端の子どもたち。 目の前でとろ〜んと広がったべとべとのりに、子どもたちは「わぁー!」と嬉しそう。 「とろとろだね」「気持ちいいよ」「ぬるぬるする」「おもしろーい」と次々と聞こえてきます。 赤や青や緑などえのぐを混ぜるとさらに楽しいべとべとのり。「海になった!」「絵がかけるよ」「おばけかいちゃおう!」など、イメージが膨らみ、思い思いに絵を描く姿も見られました。

 指の跡がはっきり白くなるところにまた楽しさがあります。 両手の指をべとべとのりの上で滑らせ、「線路!」とぐるぐる板の周りを歩いて楽しむ子どももいました。 ぬるぬるになった手で握手する気持ちよさを味わったり、すいーっと体を前へ滑らせ、お腹もつけて「泳いじゃおー!」とべとべとのりの感触を味わう姿もありました。 それぞれの楽しみ方を見つけ、全身であそぶ子どもたち、いいなと思いました。

 

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ドロ

 水を入れて、とろとろ・たぷたぷ、気持ちいいドロ畑に入りたい子どもたちで大行列ができました。 おそるおそる足先をチョンとつけてみたり、足や手をズボ・ズボいれてみたり、おしりまでとっぷりつかってみたり。 「足が抜けないよ〜」「気持ちいい」「ドロ温泉に入ろう!」と体中でドロの感触を味わいました。

 水をたっぷりかけると次第に、ツル・ヌルとすべるドロの坂。 登ったり、降りたりする時、すってんと転ぶ子どももいました。ツルツルっとはだしで味わう感触もまたいいなと思いました。

 

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 ふかふかに大きくなった砂山。 いつもより高い砂山をはだしになって、登ったり、駆け降りたりして楽しみました。 あちらこちらで「大きな穴掘ろう!」「川つくろうよ」「こっちから掘って〜」「トンネルできた」と声が飛びかいました。 「ここに山つくろうよ」と大きな砂山の斜面に山をつくったり、たくさん水を流し、川が崩れ、どんどん水が流れ出てしまうのを「