『さるすべりおんせん』
9月は暑い日が続いていましたが、少しずつ秋の訪れを感じるようになりましたね。長谷幼稚園の園庭では、百日紅の花が色鮮やかに咲き、地面にピンク色の絨毯をつくっています。
ある日、百日紅の花を集めていた子どもたちがいいことを思いつきました。「ここをさるすべりおんせんにしよう!」
その一言からどんどん楽しそうなアイデアが広がっていきました。
「あっちをほてるにしよう!」
「おんせんのなかで、じゅーすがのめたらいいね!」
「でんしゃでもこれるってことは?」
誰かの思いが誰かの楽しさになり、みんなの気持ちが合わさっていくともっと楽しい気持ちが広がっちゃう!目には見えない世界が頭の中で膨らんでいく子どもたち。その声はうきうきと弾み、瞳はきらきらと輝いていました。
さっそく温泉づくりが始まりました。土で壁をつくり、水が流れていかないようにしている子、地面の高低差に気付き土をなだらかにしている子、シャベルを電車に見立てて温泉の周りに線路をつくっている子。一人ひとりがやっていることは違っても、ファンタジーの世界は繋がっている、そんな仲間との楽しさが少しずつ広がってきた今の子どもたちの姿もあります。温泉づくりの様子を見かけては「たのしそう!」と途中でいろいろな子が入ってきて、つくっている仲間も出たり入ったりと、どんどん変わっていきました。
次の日、朝から「おんせんのみずをいれよう!」とはりきる子どもたちの姿がありました。井戸で汲んだ水を桶に入れて、みんなで力を合わせ「わっしょい!わっしょい!」そして...
「つめた~い」
「きもちい~」
汲んだばかりの水の冷たさに思わず漏れた言葉。ちゃぷちゃぷと裸足で歩いていると、今度は土と水が混ざってきて...
「ぷにぷにだぁ~!」
泥のとろとろ、ぷにぷにとした何ともいえない気持ちよさに気付き、今度は泥の温泉水づくりが始まりました。腕を大きく広げてただただ泥の感触に夢中になって遊ぶ子どもたち。自分好みの感触の泥をつくっては、「さわってみて!」と嬉しそう。最後は「たのしかった~!またあしたもやろうね!」と、とってもいい表情で約束をして別れていました。
園庭のどこでも掘れる、何にでも形を変える砂・土の楽しさは、今日も幼稚園のあちこちで広がっています。