はせだより+1 平成17年6月
2005年6月12日

このコーナーでは、私たち保育者が、保育の中で大切にしていること、考えていること、感じたことを、子どもの姿を通してお伝えしていきます。 今回は   

思いもしない遊びがひろがる時間

です。

 長谷幼稚園の子どもたちは、毎日、降園前の30分ほどの時間を、「かえりのじかん」と呼び、クラスごとに部屋の中で過ごします。その時間には、私たち保育者が絵本を読んだり、歌、手遊び、ゲームなどをしています。普段の生活では、クラスという枠を越えて、子ども同士が知り合い、一緒に遊ぶことも多いのですが、そうばかりではなく、クラスという比較的小さな集まりの中で、気持ちを落ち着けて、ゆったりと過ごすことのできる時間もあるといいな、と思っています。  新年度が始まった当初は、保育者から「今日はこれを歌おう」などと提案して過ごし方を決めていくことが多くありました。けれども、2ヶ月がたち、子どもたちにとって、クラスという場も、自分の場所の一つとなってきている中で、子どもたちの方から「きょう、かえりに“さんぽ”うたいたいな」「きのうやったゲームもういっかいやりたい」と、“こうやって過ごしたい”という思いを伝えてくるようにもなってきました。長谷幼稚園では、“子どもたちが自ら考え、つくる”ということを大切にしたいと考えていますが、かえりのじかんに関しても同じで、子どもたちが過ごし方や遊びを考えて、作っていけるといいなと思います。  あるクラスでは、“しまうまグルグル”という歌をよく歌っていました。この歌は、しまうまの縞をとって、シロクマ、ママ、空につけたらシマクマ、シマママ、シマソラになった、という内容の歌なのですが、毎日のように歌っていたので、保育者が「じゃあ、次は何にシマをつけちゃおうか?」と尋ねると、「とり〜!」「リュック〜!」「おべんとう!」「○○(子どもの名前)につけて〜!」「シマだから、島!」と、子どもたちの中からたくさんのアイデアが出てきました。シマがついたそれらを思い浮かべたり、文字数が多いために歌いづらかったりしてそれもまた面白く、笑顔で歌う子どもの姿があり、自分たちで作った替え歌は格別の楽しさがあるのだと感じました。  また、保育者が、「あるところに赤い傘がありました。この傘ちゃん、どうしたと思う?」と尋ねると、「雨が降ってきたから、おでかけした〜!」「どんどん歩いていくと、カエルがいたからいれてあげたの」「雨がやんじゃった!」「傘は泣いたの」「カエルも雨がやんだから泣いちゃった〜!」と、面白いストーリーが出来上がっていきました。  保育者が考えたことだけでなく、子どもが考えて作っていくことで、こちらが思いもしない遊びがひろがって、子どもたちにとって、より楽しく、ワクワクできる時間になっていくのを感じます。  “かえりのじかん”だけでなく、日々の生活の中でも、子どもが考える、ということを大切にして過ごしていきたいと思います。そういった生活を積み重ねることで、子どもの、自分で考える力が育っていくといいなと願っています。  今は、クラスで“かえりのじかん”を過ごしていますが、今後、子どもたちの「こんなことしたいな」という中から子どもが自分で選んでグループに分かれ、過ごしてみるのも面白そうだなと考えています。