『つたわる 子どもたちのきもち』
2学期が終わり、長谷幼稚園の子どもたちは、冬休みを迎えました。
1学期、2学期と幼稚園でたくさん遊び、生活してきた子どもたちは、遊びもどんどん自分たちで思いつき、片付けや準備、身の周りの事なども自分たちでやろう!という気持ちで、過ごしていました。
日々、様々な楽しいことに出会い、色々な仲間との関わりの中ですごす子どもたち。色々な仲間のことを知り、みんなで過ごすことがもっともっと楽しくなるなかで、子ども同士の関わりに、気持ちのつながりや、心の通い合いを感じ、ほんわかした温かい気持ちになる場面が沢山あります。
ある日の朝、あおの子(4歳児)のAくんが部屋の前でお母さんにしがみつきながら泣いていました。
前の日まで体調が悪く、休んでいて、久しぶりの登園だったので、「今日はお母さんと離れるのが少し寂しいのだろうな」と思い、保育者がその子の側に行こうとしました。でもそれよりも前に、あかの子(3歳児)が「Aくん、どうしたの?」と心配そうに近づいてきました。
それに続くように、他の子も近寄ってきて「おかあさんといたいのかな?」「どこかいたかったのかな?」「ともだちといやなことがあったの?」などと声をかけてくれたり、何も言わずにAくんの背中をさすってくれる子もいました。
そういった関わりは1学期のはじめにも見られていましたが、子どもたちの言葉や、関わりを聞いていると、その時とはまた違う、一緒に過ごしてきた仲間だからこそ、その子その子が、Aくんとの今までの関わりの中で知っていることを思い出して、言葉にしたり、自分自身が泣いているときのことを思い出したりながら、どうしたらAくんが楽しい気持ちになるのかを一生懸命考えて、Aくんの気持ちに思いを寄せているのだなと思います。
Aくんは色々な子の温かい気持ちを感じながら、最後はそばにいてくれた仲間と保育者とともに、お母さんを門まで見送りに行きました。そしてそのあとは、「すなであーそぼ」と言って、友だちと元気に遊びだしました。
そのほかの場面でも、だれかが泣いていたり、困っている姿に気が付くと、子どもたちはすぐにその子の側に駆け寄っていく姿があります。大人に教えてくれるときもあれば、子どもたち同士で気持ちを聞いてあげて解決するときもあります。子どもたちが色々な形で支え合って過ごす姿を見ていると、改めて、みんなで生活しているって素敵だなと感じます。
また、悲しい気持ちだけでなく、たのしい!という仲間の気持ちにもすぐに気が付きます。
きいろの子(5歳児)が掘ってきた、さつまいもをみんなで食べた日。あるクラスでは、やきいもやさんの遊びが広がりました。
新聞紙でつくったさつまいもをダンボール箱のなかで焼いていたり、段ボールにえのぐでさつまいも畑を描いていたり、子どもたちがさつまいもになって、「よいしょ!よいしょ!」と芋ほりごっこをしていたり、いろいろな楽しさが広がっていました。
すると、「OOぐみが、たのしそうだよ!」と気が付いた子が、すぐに仲間に入り、初めはやきいもを買って、食べていましたが、次に見たときはもうお店の人になっていました。やきいもを食べているのを見て、「どこでもらえるの?」と遊びに行く子や、「やきいもやさんやってまーす」という言葉を聞いて、「いきたい!」と行く子がいたり、あっというまにやきいもやさんの遊びが広がっていきました。
このように2学期は、1つのクラスで始まったことが、クラスを越えて広がったり、数人の子が思いついた遊びが、幼稚園のみんなの楽しいことになることが沢山ありました。子どもたちの「たのしい!」という気持ちは、子どもたちの中でどんどん広がり、遊びはどこまでもどこまでも膨らんでいきます。
また三学期、お互いを感じ合い、思い合う気持ちが育っている子どもたちと、過ごせる日々を楽しみにしています。