かがやき+1 平成29年12月
2017年12月23日

あふれる・膨らむ!子どもたちのイメージ



 長谷幼稚園の子どもたちは、遊んでいる時に生きものになりきったり、空き箱を見立てたりと、イメージを膨らませています。その遊びの楽しさは、生活のちょっとした所から広がっていきます。

 きいろの子(5歳児)がクラスごとに、お茶の入ったやかんと、お弁当の時間に出るごみをいれるためのバケツを運んでいる時の事。バケツを帽子のように被り、「やかんのこびとになっているんだ。」と言っていました。そのこびとについて話をしていると、「やかんのこびとは水の中に住んでいるよ。」「やかんから出てくる水と一緒にこびとが飛び出してくるよ。」と、様々なイメージを膨らませていました。

 このような姿を見て、「他の仲間たちともこびとの話をしたら、楽しそう!」と思った保育者は、きいろの子(5歳児)たちと話してみることにしました。

 すると、次々とイメージは膨らみ...

「海にいるこびとは、さめのおなかのなかのトンネルをくぐるんだ」「空に飛んで行って、宇宙にもいる!」「山を登っていったところにも!」

 ひとたび話し始めると、色んな場所が出てきましたが、より楽しくイメージが膨らんでいた、『海』『宇宙』『土の中』『山』『幼稚園』の、5つの場所で暮らすこびとのお話を考えることになりました。5つの場所が集まると、ひとつの街――『こびとのまち』になります。

 自分でこびとになりきっている子も、空き箱を使ってこびとをつくっている子もいて、お話の内容は、竹で楽器をつくってコンサートをしていたり、物語のようになっていたり、途中で歌を歌ったりと、仲間同士で相談をしてつくっていました。

「自分たちのお話も見てほしい」、「ほかのこびとのお話も見たい!」という気持ちになり始めた頃、在園している子みんなや、おうちの方を招待しました。

 その後、長い間、仲間と相談しながらじっくりとつくり、ゆっくりと広がった『こびとのまち』とも、ついに"お別れ"の時を迎えました。

 保育者が、「みんなでこびとのお話をするのは、今日が最後なんだ。」と話し始めると、一人の子が「それじゃあ、こびとのまちは、"お引越し"をするっていうこと?」と言いました。それから次々と他の子たちが、「どこにお引越しするんだろう。」「あ!見て、あの山の上に、こびとがいるよ!」「ほんとだ!海にもいるみたい!」「それなら、新しい街まで、つくったものを届けてあげようよ!」と話し始めていました。

 『幼稚園のこびと』の子が考えたお話の中で、"くるっと回るときょうりゅうから人に戻る"という場面があります。それを思った子が、「みんなは今こびとだから、くるっと回って長谷幼稚園の子に戻ろうよ!それで、お引越しのお手伝いをするのはどう?」と提案していました。

 みんなで、大好きな歌にのせて空に向かって"こびとたち"を送り出すと、"こびと"から"長谷幼稚園の子"に戻って、トンカチでつくった『こびとのまち』の空間を自分たちで解体しました。

 ただ"おしまい"とするのではなく、遊んでいたものに"さようなら"をする時もイメージを膨らませていました。「こびとたち、元気かな。」と思いを馳せている子もいました。

 どこまでも膨らんでいく一人ひとりが思い描くイメージは、仲間と一緒にいることで新たな広がりも生まれてきます。
 これからも、子どもたちがつくっていくおもしろいファンタジーの世界が、広がっていくといいなと願っています。