この「かがやき+1」では、子どもたちの姿を通して、保育者が、保育の中で感じたこと、考えていること、大切にしていることをお伝えしていきます。
今回は
です。
二学期後半の同年齢での生活を経て、冬休み明けの三学期は、再び異年齢のクラスの仲間との生活が始まりました。
これまで、子どもたちひとりひとりの「これしたい!」を大切に過ごしてきた中で、それらを形にしていくことの楽しさ・満足感・充実感をたっぷり味わっていた子どもたち。三学期はさらに、クラス・年齢の垣根を越えていろいろな仲間と混ざり合い、みんなで考え・つくり・じっくりとあ そびを深めていけるといいなと願っています。時には保育者の方から「この子たちとこんなことしたら、楽しいことができるかも!」「あの子たちのこんな思いを、みんなで膨らませることができたら面白いだろうな!」という思いから子どもたちに声を掛け、一緒にあそんでいくことで、子どもたちが新しい楽しさを発見するきっかけになったり、ひとりひとりが夢中になって過ごすことを見つけたり、というところにつながっていくといいなと思っています。
また、これまでの生活を共に過ごしてきた子どもたちは、自然と仲間のことを分かり、遊ぶ中でお互いの世界を行き来しながら、楽しんでいる姿もたくさん見られています。
三学期が始まってすぐから、いろいろな子どもたちが気持ちを向けて楽しんでいる“おみせやさん”が、今、幼稚園のあちこちでオープンしています。
紙と紙でふかふかな素材のものをはさんで作ったマカロンやさんがあったり、素敵なお皿にのせて出してくれて、お持ち帰りのときにはラッピングもしちゃうケーキやさんがあったり、お客さんを診察台に乗せて、注射や薬で何でも治してくれる病院があったり・・・様々なアイディアをお互いに出し合いながら、それぞれにこだわりのおみせを箱や段ボール、紙などを使い作って、「明日も!」「また明日も!」と遊びを拡げていっています。
おみせのものを夢中になって作っている時ももちろん楽しいのですが、子どもたちにとって自分の作ったもので、お客さんである友だちとやり取りができるということは、本当にうれしく、わくわくすることのようです。仲良しの子と作っておしまいではなく、自然といろいろな子と関わりながら、顔を合わせて言葉を交わし、気持ちを通わせ、遊びが拡がっていくことが、とても素敵だなと感じています。
子どもたちは、自分のやっているおみせのことだけでなく、周りの子たちがどこでどんなおみせをやっているのかを本当によくわかっていて、違う場所で遊んでいても、いろいろな子の遊びがつながっているのだな、と感じます。あちらのお花やさんで買ってきたお花が、こちらの病院に飾ってあったり、あちらのおみせでもらったおつりが、こちらのおみせの買い物に使えたりと、自然と遊びと遊びがくっついて、楽しさがさらに膨らんでいくことも、いいなと思っています。幼稚園全体が子どもたちの作る空間になっていることが、こんな姿からも感じられ、三学期ならではの遊びの拡がりに、子どもたちの育ちを感じています。
また、そんなおみせやさんの盛り上がりと、とんかち・のこぎりをつかって木箱や木材でつくって遊びたい子の思いが合わさって、園庭におみせをつくることにもなりました。ここでは、保育者も子どもたちの思いが重なるようなきっかけをだしつつ、様々なきっかけで作って遊ぶことを楽しめるといいなと思い、周りにいる子に声を掛けながら一緒に過ごしていきました。いろいろな子のとんかち・のこぎりパワーで、あっという間に園庭にもおはなやさんやラーメンやさん、ホテルなどができ、部屋の中や廊下でオープンしているおみせやさんとのやりとりが、さらに楽しくなっていました。
“おみせやさん”の遊びは一カ月近くたった今でも、たくさんの子が様々に楽しんでいます。またやりたい!もっとやりたい!そんな気持ちが次の楽しさにもつながり、こどもたちひとりひとりがわくわくした気持ちたっぷりに、幼稚園での毎日を過ごしていけるといいなと思っています。