かがやき+1  平成24年10月
2012年10月31日

この「かがやき+1」では、子どもたちの姿を通して、保育者が、保育の中で感じたこと、考えていること、大切にしていることをお伝えしていきます。 今回は   

『はせの世界』

です。

1学期を通して、クラスの仲間や幼稚園自体が少しずつ安心できる存在になっていった子どもたちは、だんだんと興味の幅が広がり、一人ひとりが、「〇〇したい!」という気持ちを持って、毎日を過ごすようになってきています。  2学期は、そんな一人ひとりの思いを感じながら、イメージを共有したり、考えたり、つくったり、遊んだり、と仲間の思いも感じられる生活を子どもたちとつくっていきたいと考えています。そして、子どもたちが、日々どんなことに興味を持っているのか、何をしたいと思っているのか、どんな空想の世界が広がっているのか、などを感じることを手がかりに、私たち保育者も子どもたちの世界へと入り込んでいけたらと思っています。    「ふねをつくりたい!」「パクパクあくドアをつくりたい!」「みかんの木があって、じどうドアがあって・・・」「つきのおうちがあって、なかにはいると、うさぎにへんしんするの!」「ドラゴンとこうもりがいるどうくつつくりたい!」などなど、どこまでも広がる子どもたちの空想の世界。こんなものつくりたい!という思いを形にし、そのもので遊ぶ、とういことを実現していくために、板や木箱(かつて、一升瓶を運ぶために使われていたもの)を使って、トンカチやノコギリでつくっていきました。木材でつくることは、容易ではありません。仲間と共に重たいものを運び、力を合わせて一枚の板を切り上げ、数えきれないほどの釘の量を打つことで、一つ一つを丈夫にしていき、一ヶ月以上もの日にちをかけて作りました。イメージが繋がりあい、できた空間では、自然と遊びがひろがっていきます。自分たちがつくったもので遊ぶことの満足感はとても大きなものだと感じています。また、遊んでいるうちに、こんな風にもしたい!と新たなアイディアも生まれます。子どもたちのひらめき、つくりだすときのワクワク弾む心が、大人には想像できない世界を次々と生み出していきます。     そうして、園庭いっぱいにつくりだされた空間は、見ただけでは、何をつくったのか分からないものばかりなので、一人ひとりの様子・思い・アイディア・友だちとの会話などを保護者の方々に、日々お伝えすると同時に、保護者の方に直接見て、遊んで感じていただきます。そうすることで、その空間に込められた思いが、子どもたち・保護者の方々・保育者の間で、共通のものになり、一つの世界を共有することができるのです。  そして、先日、この世界で、保護者の方も一緒に遊ぶ一日がありました。今年度入園された方の中には、どんな一日なんだろうと疑問に思われる方もいたようです。けれど、その日までに、少しずつ作り出される空間や遊び、子どもたちの姿を感じながら過ごしてくださった時間と、自分たちが作ったところに、お母さんたちが遊びに来てくれた嬉しさや、ここ打ったんだよ!と教えてあげたい気持ちが溢れだす子どもたちの姿に、「これが“はせの世界”なんだなぁ」と実感してくださったようでした。 一人ひとりの思いとたくさんのアイディアが、つまった世界。考え、つくり、遊びながら、仲間と感じ合う世界。それが「はせの世界」です。 img030.jpg