かがやき+1 平成22年度7月
2010年7月27日

この「かがやき+1」では、子どもたちの姿を通して、保育者が、保育の中で感じたこと、考えていること、大切にしていることをお伝えしていきます。 今回は   

『ともに過ごす身近な仲間たち』

です。

 暑い夏を迎え、一学期が終わりました。 4月から過ごしてきた3ヶ月半の間に、一人ひとりの子が、幼稚園の中で好きな場所や好きな遊び、好きな人を見つけて過ごしてきました。クラスの存在もそれぞれの子にとって、安心できる場の一つ、好きなものの一つになっていきました。  長谷幼稚園には、花・空・鳥・風・星・月の6つのクラスがあり、3・4・5歳児の異年齢の仲間が各クラス、22〜23名ずついます。生活の中で、クラスを越えて色々な仲間と遊び、関わりあう機会を持ちながら、お弁当や帰りの時間は基本的にクラスで過ごしています。  お弁当の時間は、みんなで大きな木のテーブルと長いイスを運ぶところから準備が始まります。「わーっしょい!わーっしょい!」と、みんなの力と息を合わせて「じぶんたちでできるよ!」と、張り切る子どもたち。「きょうは、どこにしようかな。」と、自分で座りたいところを選んだり、「いっしょに すわろう!」と、誘い合ったり、くじ引きで席を決めたりもします。少し離れて座っている子と、名前を呼び合って嬉しくなる姿や「きょう、○○ちゃん、たまごやき はいってるんだね!わたしもだよ。」 「いちごすきなひと〜!」「はーい!」などと、子ども同士で会話が弾んでいき、クラスの色々な子と関わる一時になっています。  お弁当の後は、みんなで片づけをします。「○○ぐみのこ、テーブルはこぶよ〜!」と、クラスの子に呼びかける子や、「ぼくも ごみひろいパワーあるよ!」と、他の子が片付ける姿を見て、自分もやろうと思う子の姿も見られます。みんなで使ったところを、みんなできれいにしようという気持ちもクラス全体で共通のものになるといいなと思います。  帰りの時間は、イスを丸く並べて、肩を寄せ合い、お互いの顔が見えるように座ります。みんなが集まると、「きょうは、○○くんいないね。」「どうしたのかな?」と、お休みの子に気付いて、気にかける姿もあります。一人ずつ名前を呼んで手紙を渡していくときに、「クイズにして!」と、次に呼ばれる子を当てるのも楽しくて、「箱で作るのが好きな、きいろ(年長児)の男の子!」と、保育者がクイズを出すと、すぐに「○○くん!」と、応えていく子どもたちの姿から、身近な存在であるクラスの仲間一人ひとりをいろいろな面で知ってきているのだなと感じます。  帰りの時間には、その日どんなことをして遊んだか、どんな楽しいことがあったかを、みんなで話すこともあります。「きょう、トンカチした!」「しってる!○○くんが、トンカチしているのみたよ!」「ダンボールでボートをつくって、みなみのしまに いったんだよ!」「こんど、いっしょにやりたい!」など、自分や友だちがしていたことを話題にしたり、「こんど、こんなことしたい!」と、次にやりたいことが、生まれたりしていきます。その日、一日を振り返って、心に響いたこと、面白かったことを、クラスの仲間と共有していく時間や、そこで感じ合う気持ちがいいなと思います。  歌をうたったり、ゲームをしたり、絵本を見たりすることも大好きな子どもたち。 「あいすのばななが ありました〜♪」と、『とんでった ばなな』の替え歌をうたっている子がいると、周りの子も面白くなって、笑ったり、一緒にうたったり、『さんぽ』の歌に合わせて踊りだす子を見て、他の子も踊りだしたり、「とりが、さかなを つかまえるゲームをかんがえたから、みんなでやろう!」と、ゲームが始まったり。  クラスの仲間が考えた歌や踊り、ゲーム、お話が他の子にも伝わって、みんなで過ごす時間が子どもたちの思いで創られていくことを大切にしていきたいと思います。  「このイスは、ふわふわのくものイスだよ!」「くもにのって、どこまでいく?」、「きょうはあついから、こおりのプールにはいろう!」「じゃぼーん!およいでたら、かえるになっちゃった!」と、部屋が空の上や海の世界になったり、自分たちが動物になったり、色々なイメージを膨らませて、体を動かし遊ぶことも楽しんでいます。全身でなりきる子や、他の子を見て感じている子など、みんなで過ごす中でも、一人ひとりの姿や表情、言葉などに、その子の気持ちや世界が表れていきます。  日々の中で、同じ空間や時間、楽しさを持って過ごしているクラスの仲間ならではの、ほっとする雰囲気や面白さが響き合う瞬間が生まれていくことを感じます。色々な仲間と関わり合う生活の中で、それぞれの子にとって、クラスが特別な存在の一つになり、「こんなこが、いるんだ」と、仲間のことを知っていくきっかけになったり、「いろいろなこと、あそんでみたいな」と、クラスの子とのつながりから、さらに拡がって、仲間との関わりを楽しんでいく気持ちが膨らんでいくといいなと思います。 img017.jpg