平成18年 6月
2006年7月15日

この「かがやき+1」では、子どもたちの姿を通して、保育者が、保育の中で感じたこと、考えていること、大切にしていることをお伝えしていきます。 今回は   

幼稚園のネックレス

です。              

 幼稚園で子どもたちと遊んでいると、大人が思いもしない、子どもならではのおもしろい世界に出会うことがたくさんあります。  6月は、長谷幼稚園の創立記念日があるので、その前日に、数人の子どもたちに、「明日、長谷幼稚園の誕生日だね」「55歳なんだよ」と話をしていました。 子どもたちに、「幼稚園、どんな風にお祝いしてもらったら嬉しいかなぁ」と聞いてみると、Tちゃんが、「みんなでネックレス作ってあげたら喜ぶと思うよ」と言いました。周りの子は「えー!ネックレス?」と驚いていましたが、Tちゃんは、「そう。おっきいやつ!」と答えました。Tちゃんのイメージするネックレスが、どんなものかを聞いてみると、「ネックレスにはいろんな色の宝石がついていて、宝石は、木の下とか、木の上とか、穴のところにある」と、幼稚園の中で、材料をみんなで探すイメージのようです。  そこから、宝石探しの旅が始まりました。「あ!あった!」と木の下を指さしてみんなで駆け寄り、「これは大きいですねぇ」「重たいからそっち持って!」と、実際には何もない空間で、みんなで大きな宝石を持ち上げます。 2006.06HPpic. (1).JPG  2006.06HPpic. (2).JPG  また、「黄色がたりないなぁ」と言う子がいれば、「○○ちゃん!ちょっとTシャツの黄色もらいまーす。」と、Tシャツをちょっとつまんで黄色をもらったつもりになっている姿もありました。  大きすぎて持ち上げられない宝石を見つけた時には、近くにいた恐竜(他の子どもがなりきっています)に持ち上げてもらったり、木の上で届かない時にはみんなで大ジャンプをしたり、宝石が空から降ってくれば手を伸ばしてキャッチしたり。  そして、もう、宝石の数は充分、となると、「宝石をくっつけるヒモがいる!」と言う子が出てきて、そのヒモも、何もない空間から生まれるのです。「はじっこもっててね」と一人がはじ、もう一人がもう片方のはじを持って(持ったつもりで)どんどん伸ばしていくと、園庭のはじからはじまで届きそうな、長いひもでした。         2006.06HPpic. (3).JPG そのヒモに、集めた宝石を結びつけてわっかにして、最後はみんなで「せーの、ぽーん!お誕生日おめでとう!」と、園舎に向かって投げて、かけてあげました。         2006.06HPpic. (4).JPG  このように、長谷幼稚園がお誕生日、ということをきっかけにして、何もない空間で、子どものイメージ、空想だけで、楽しい世界が広がったのです。  今回、この遊びを通して、子どもたちが、実際にはないものを、まるで本当にあるかのように遊ぶ姿ってすばらしい、そして、かわいいな、と、改めて感じました。大人は、ついつい、ネックレスを作る、となれば、本物のヒモを用意したくなったりしますが、きっと、今回、本物のヒモを用意していたら、運ぶときに持つのが大変だったり、と、遊びの幅が制限されてしまったのではないかと思います。イメージで遊ぶからこそ、なんでもあり、になって、遊びが広がることもたくさんあるのだと思いました。 子どもの遊びの世界のおもしろさを、これからも大切にしていきたいと思います。